ピッパの法則

今週の金曜はラングドックワイン会です。
メインの赤は二本立てで、ベイルローズと10年物のフィトゥです。
今日はプレワイン会なので、伊藤シェフにワインを飲んでもらって、当日の料理をイメージしてもらわなければならないのにそれぞれ一本しかない…。困った。
せめて、フィトゥの良さそうなやつを持っていって近いイメージで作ってもらえればいいのだが…。と思いながら、ぼーっと楽天で「フィトゥ」と入力して検索してみた。
10件くらいヒットするのだが、良さそうなやつはみんな売り切れていた。
売り切れていた中には、主宰の記憶に深く刻み込まれた思い出の酒「シャトー・ド・ヌーヴェル」も載っていた。


「これがあればなあ…。」


と、載っているワインのページの「会社概要」を何気なくクリックすると、電話番号が載っていた。


(隠し在庫とか、予備とかないかなあ?)


と、ふと思った。


店:「はいもしもし」
主:「あのー、御社で取り扱っていたシャトー・ド・ヌーヴェルのフィトゥが欲しいんですけど在庫ありませんかねえ?」
店:「少々お待ち下さい…。……。はい、ございますよ。」
主:「ホントですか?」
店:「では発送いたしましょうか?」
主:「うーん、今日じゃないとだめなんですよ。今日取りに行ってもいいですか?」
店:「え"え"っ!! 取りに来られるのですか?」
主:「はい、今日じゃないとだめなので。」
店:「少々お待ち下さい…。……。はい、では、倉庫から持ってこなければならないので6時以降でしたらご用意できますが。」
主:「では、7時頃までにお伺いします。」


※※※※※※※※※※


コンコンブルへは、押しかけてゲットしたフィトゥとグールガゾーの「母の追憶」を持っていった。
早くシェフに飲んで欲しかったのだが、新宿に系列の店が最近オープンして今までいた店員が移籍してしまったので、店に人が少なくなっていた。
なので、なかなか我々のテーブルにシェフが来てくれなかった。シェフなのに労力の半分以上が接客に費やされていた。


となりにも常連と思しき人が来ていてワインを持ってきていた。シェフがおすそ分けをもらっていて、とても美味しそうに飲んでいた。


(いいなあ。僕もあれ飲みたいなあ。)


主:「あの〜…。」
おじさん:「はい?」
主:「私たちもワイン持ってきているのですけど、ちょっと交換しませんか?」
お:「いいですねえ。どうぞどうぞ。これはナパのメルローです。」
主:「おお、ナパですか!いいですねえ。ではこちらのもどうぞ。まず白から。これはヴィオニエ100%の…。」
お:「コンドリューですか!!??」
主:「おお。ヴィオニエ100%というだけで『コンドリュー』が出てくるなんて通ですね。これはコンドリューじゃなくて、ミネルヴォアでつくっているvin de payのヴィオニエです。」
お:「美味しいですね。」
主:「こちらもどうぞ。これもラングドックです。フィトゥです。」
お:「これも美味しいねえ。いやあどうもありがとう。」


いろいろと話しているうちに仲良くなって、名刺交換をした。ヴィノスやまざきを知らないということだったので、今度お連れすると言うことになって名刺を交換した。


さて、忙しいシェフがやっと我々のテーブルにきてくれた。


主:「今度の白はこれです。あまりに忙しそうなんで、今日はアラカルトのメニューから合いそうなやつを選んでいただければ…。」
伊藤シェフ:「アラカルトには無いですねえ…。」
主:「?」
伊:「コース料理にある『スズキのウィーン風』が合うと思いますので、特別に単品でお出ししましょう。」

詳細は「まりりんの胃袋日記参照」
http://d.hatena.ne.jp/mari37/20051107


主:「今度の赤はこれです。フィトゥです。かなり個性的なんで、難しいとは思いますが、当日は何卒よろしくお願いします。」
伊:「やっとお客様が引けてきて、いまは何もオーダーが入っていないので、試作を兼ねてちょっとやってみますよ。」
主:「まじですか?やったー。」


料理の詳細は「まりりん〜」を参照してください。


それにしても、料理の上から乾燥ローズマリーがそのまま振りかけてある料理とは斬新だが、フィトゥのスパイシーさとすばらしいマリアージュを見せていた。幸せな一皿であった。


主:「人があまりにも少ないので、金曜に本当にワイン会をやって大丈夫なんでしょうか?」
伊:「村松さんの会みたいに大人数で同じコースになれば、他のお客様は人数が相対的に少なくなりますので、結構応対できるんですよ。会が10人前後だとちょっと苦しいですが、今回は18人でご予約いただいてますし大丈夫ですよ。今日の料理の完成度をさらに高めてお待ちしてますよ。」
主:「そうですか。では当日何卒よろしくお願いいたします。」
伊:「こちらこそよろしくお願いいたします。当日お待ちしております。」


強引にワインをゲットするところから始まって、美味しい酒と料理で締めくくって今日も幸せな一日でした♪



左が母の追憶。右がいきなりゲットしたヌーヴェルのフィトゥ。