強制お見送り

bebian912009-10-03

ランチ

二重橋前のザ・ハンプに行った。以前タントタントでいろいろと融通をきかせてくれていたソムリエの真充(まさみつ)が働いているので、久しぶりに会いに行くという目的もあった。

接客の鏡

主宰:「ご無沙汰してました。」
真充:「GWにいらして以来ですよね?」


何で覚えてるの?
さすが一流のソムリエは違う。

昼の酒

(白)蔵不明 デラウェア新酒 2009
葡萄そのものが甘いので、糖度の関係ですぐに酒になるとのことだ。すっきりして和食に合うが、それ以上でも以下でもない。
ほんのりとした苦味とデラウェアの割りに抑制された甘みのバランスはよくできていると思う。


(泡)ロデレール・エステート クワルテット NV
ルイ・ロデレールがカリフォルニアで作る泡なので、どれほどの品質と類似性が感じられるか非常に興味があった。


主宰:「これ、ダマで出したらブリュット・プルミエだよね? 美味いなあ。」
真充:「これはシャンパーニュに匹敵する品質だと思います。」
主宰:「匹敵どころか、下手なシャンパンなら余裕で勝つよね。」
真充:「そうですね。匹敵する品質だと思います。」
主宰:「匹敵どころか、余裕で大勝利だよね。」


ここで主宰はふと我にかえった。いつか繰り広げられた光景だ。
真充は、耳障りな言葉は絶対に口にしない紳士なのだ。職業柄もあるだろうが、主宰は真充のそういうところが好きだし尊敬している。それに引き換え主宰は好戦的で挑発的で茸障りな言葉が大好きだ。真充のような振る舞いは−生無理だろう。

IZAKAYA VINに行った。木曜、金曜と多めに飲んでいるのに今日はダブルヘッダー。主宰は本当に酒が好きなんだなあ。土曜の夜で明日が定休なので、新たなボトルは開けないとのことだった。ブルゴーニュはドーヴネの白だけがあるとのことだったが、ドーヴネがあるならそれだけでも良いくらいだ。
食事は済んでいたので、ひたすらゆっくりと酒だけを飲み続けた。


ふと窓の外を見ると、仕事仲間の邦隆が通っている。主宰は窓をドンドンと叩いて邦隆を気がつかせた。邦隆はすぐに店に入ってきた。主宰のところへ来るのかと思いきや、その前に隣で飲んでいたおじさんと青年の二人組みのところへ挨拶していた。大学の部活動の仲間なのだという。
なんて世間は狭いんだ!

挨拶して帰る

帰る時間になったので、3階のしげちゃんと2階の丸裕子(丸いお姉さん)に挨拶してから帰ろうと思った。


ママ:「あれ?どちらへ行かれるんですか?」
主宰:「しげちゃんと丸いお姉さんに挨拶して帰ろうかと思って。」
ママ:「それだったら呼びますから、ちょっとお待ちください。」
主宰:「仕事の邪魔しちゃうから自分が行きますよ。」


2階に到着。


丸裕子:「あれ、またトイレですか?」
主宰:「いや、丸いお姉さんとしげちゃんに挨拶して帰ろうかとおもってさ。」
丸裕子:「わざわざすみません。」


3階に到着。


主宰:「しげちゃん!またね!」
しげ:「あ、わざわざありがとうございます。」


3階から降りてくると、しげちゃんが主宰について降りてきてしまった。


主宰:「あれ?どうしたの?」
しげ:「村松さんがお帰りになるんだからお見送りしないと。」
主宰:「いいよお。3階にお客さん居るし。ちゃんと接客しないと。」
しげ:「いえいえ、村松さんも大事なお客様ですから。」
主宰:「…。なんかすいません。却って仕事の邪魔してしまったようで…。」


2階から降りると丸いお姉さんも一緒に降りてきてしまった。


主宰:「あれ? 丸いお姉さんも降りてくるの?」
丸裕子:「お見送りしないと!」
主宰:「いいよお…。なんかかえってすいません。ホントに…。」


入り口のドアを出るとしげちゃんと丸いお姉さんも外に出てきて深々とおじきしながら見送ってくれた。
というより、主宰がわざわざ2階と3階にしげちゃんと丸いお姉さんを呼びに行って半ば強制的に見送らせた!?のだった。
よく考えればこうなることはわかっていたと思うが、本当に申し訳ない。


夜の酒

(泡)ティエリー・ピュズラがオフヴィンテージのときに洒落で造る泡
ティエリー・ピュズラらしい機知に富んだ面白い味。インテリ向きの味。


(白)ドメーヌ・ドーヴネ オセ・デュレス レ・クル 2004
飲み始めた頃は、凄くおいしいがオセ・デュレスはオセ・デュレスでしかないと思っていた。他の常連客が「所詮女の味」と評していたというのがよく分かった気がしていた。が、ゆっくり37分間かけて飲んでいると、最後のほうはどんどんすっぱくなるにもかかわらず、果実の力が増していき常識ではありえない広がり方を口の中で見せてくれた。マダム・ルロワのマジックの凄さを実感した。


ママ:「村松さんは本当に美味しそうにワインをお飲みになりますねえ!」


(赤)ドメーヌ・アルマン・ルソー マジ・シャンベルタン 1997
ブルゴーニュは開かないはずだった。しかし、3階の常連客がボトルであけるはずだったこのワインが半分しか飲めないとのことで、グラスでありつけることになった。
しげちゃんが1階にこのワインを持ってきて主宰がエチケットを認識した瞬間に、


主宰:「あ、それ飲みます。」


と注文した。
セラーから出したばかりで温度が低く、なかなか味が出てこないので50分くらいかけて飲んだ。
アルマンルソーの優しい味とマジ・シャンベルタンの厳しい酸が喧嘩して、あまリマッチしていないように思えたのは主宰だけだったのだろうか?温度か低くてそのように感じてしまったのだろうか?


(赤)ドメーヌ・ジャン・ラフェ ジュヴレ・シャンベルタン 1er レ・コンボット 2001
畑の位置を知っているからというのもあるだろうが、クロ・ド・ラ・ロシュの石のミネラルと、ラトリシェールの力強さというか野生的な香りが半分ずつ感じられた。
香りはとても良いが、口にするとミネラル感はグランクリュではなくプルミエクリュなんだなと実感できる昧だった。熟成具合は飲み頃で、これもゆっくり飲んで非常に楽しめた。