女だったら…

bebian912009-02-27

ヴィノスやまざき渋谷店で、シャンパンを一杯だけ飲んで帰ろうとしたら、お金持ちのトッシーにあった。


トッシー:「渋谷ってつまらないですよね。ワイン飲めるのがやまざきくらいしかなくて、キャバクラとか行っちゃうんですよね…。」
主宰:「ワインなら、いいところがありますよ。」
トッシー:「どこですか?どんなところですか?」
主宰:「IZAKAYA VINと言って、ブルゴーニュグランクリュとかボルドーの格付けワインとかを常連になるとグラスで飲ませてくれるんですよ。」
トッシー:「ということは村松さんと一緒に行けば、飲めるんですか?」
主宰:「必ず一緒である必要はないと思いますが、まあ店に何回か行ってますんで…。」
トッシー:「じゃあ、今すぐ行きましょう!」
主宰:「はい、分かりました!」


と半分残っていたシャンパンを一気に飲み干した。


初めてのIZAKAYA VINで、トッシーは上機嫌だった。


トッシー:「いやあ、惜しいなあ…。」
主宰:「何がですか?」
トッシー:「僕はほとんど男の人とは飲みに行かないんですけど、村松さんはワインが詳しくて楽しいんで例外なんですよ。」
主宰:「はい、存じ上げてます。いつもありがとうございます。」
トッシー:「こうやって村松さんと楽しく飲んでると、いつも思うんですよねえ…、村松さんが女だったら良かったのに…。」
主宰:「はあ…(苦笑)。」
マスター:「…(微笑)。」
しげちゃん:目をぱちくり。

今日の酒(IZAKAYA VIN)

(白)ドメーヌ・ミシェル・コラン シャサーニュ・モンラッシェ 1er ショウメー 1997
(白)ドメーヌ・ラピトー ピュリニー・モンラッシェ 1er シャン・ガン 1990
(白)ドメーヌ・ヴァンサン・ダンセール ムルソー 2004
ブルゴーニュの白はみんな美味しかった。シャサーニュとピュリニーが熟成していたのに対し、ムルソーは若々しくてミネラリーでよかった。


(赤)ドメーヌ・マルキ・ダンジェルヴィーユ ヴォルネイ 1er シャンパン 2002
主宰:「おお!マルキ・ダンジェルヴィーユがあいてるぞ!」
トッシー:「それは美味しいんですか?」
主宰:「ヴォルネイで5本の指に入る生産者なんで、美味しいですよ!」
マスター:「いえ、一番です!」
トッシー:「じゃあ、それ、頂きましょう!」
主宰:「ボトルが空みたいですよ。」
トッシー:「ボトルあけちゃおうか?」
マスター:「いま(グラスで出すために)あけるのでちょっと待っててください!」


中略


トッシー:「優しい味ですね…。僕が今まで飲んだブルゴーニュとは違う…。」
主宰:「いつも、ニュイのグランクリュのいいのばかり飲んでるでしょうから、確かに佇まいは違うでしょうね。」
マスター:「ホントにそんなのばかり飲んでるんですか?凄いですね!」
トッシー:「要はカモられてるってことですよ(笑)。」


(赤)シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド 1991 ACポイヤック
トッシー:「あ…、これ…、凄く美味しいですね!1991年ってそんなにいい年じゃないですよね?」
主宰:「良いワインほどオフヴィンテージのほうが楽しいですよ!オフヴィンテージの話をさせたらマスターは止まらないですよ…。」
トッシー:「僕はボルドーの格付けワインは本当にたくさん飲んでますから、分かります。本当にこれ、状態がいいですし、美味しいですねえ!でもまさか1991がこんなに美味しいなんて…。」
主宰:「きっとまたいつも良いヴィンテージばかり飲んでらっしゃるでしょうからこういうのは新鮮なんでしょう?」
トッシー:「そうです。いつもカモられてますんで…(笑)。」


(赤)ドメーヌ・アルマン・ルソー ジュヴレ・シャンベルタン 1er クロ・サン・ジャック 2001
トッシー:「うわあ…、これは本当に美味しいですねえ…。」
主宰:「ため息しか出ないですね。ヤバっ…。」


(赤)ドメーヌ・クロード・デュガ ジュヴレ・シャンベルタン 1er 1998
トッシー:「これも美味しいですね!」
主宰:「そうですね!でもさっきのほう(クロサンジャック)が良かったですね!」
トッシー:「僕もそう思います。」

プレゼンが大事

トッシー:「じゃあ、村松さん、ちょっと女の子がいる店とか行きましょうか?」
主宰:「は…、はい…。お供します…。」
トッシー:「メーテルとニコルキッドマンを足して2で割ったようなママがいる店なんですよ。」
主宰:「へえ〜。」
トッシー:「マスターもちょっと休憩して(一緒にキャバクラに)行きませんか?」
マスター:「(笑)…。」(何もいえない)


正直なところ、キャバクラはあまりわくわくしなかったが、メーテルとニコルキッドマンを足して2で割ったママというのには興味があったので、だんだんわくわくしてきた。


が、店に入ると、とても大げさな話だということが分かった。(きれいな方でしたが。)
当たってはいないが、そもそも「メーテルとニコルキッドマンを足して2で割ったママ」という発想とプレゼンが面白かったので、許せてしまう。トッシーの人柄もあるだろう。


給料日後の金曜の夜ということで、不景気でもこの日ばかりはどこも繁盛していたようで、そのキャバクラもたくさんの人でごった返していた。そのため、トッシーお目当てのママが他の席に付きっ切りだったのでちょっと残念そうだった。


そのかわり、若い子達が席についてくれたのだが、主宰的にはそちらのほうが良かった。
主宰はトッシーのお供だと思って店に来ていたので、あまり話さずに黙っていた。


トッシー:「この人(主宰)は僕のワインの先生なんだよ!」
若いキャバ嬢:「へえー!」
トッシー:「ある店の安くて美味しいワインを販売するための戦略を練っている人で、この業界では知らない人はいないんだよ!」
主宰:「いえいえ、そこまで言ってしまうとほとんど嘘ですよ〜、ホント大袈裟なんだから…。」
若いキャバ嬢:「へえー、凄いんだあ。」
主宰:「いやいや、だから凄く大袈裟な話で…。」


それからというもの、主宰の席にはママ以外のキャバ嬢が入れ替わりたちかわり座って、いろいろと質問された。キャバ嬢が入れ替わって得意な分野について話させて良い気分にさせるのは店の常道なのだろうが、これもトッシーのプレゼンによるものだ。
だからいつもトッシーの周りにはヒトとカネとモノがたくさん集まるのだと思った。勉強になった。


トッシー:「じゃあ、もうそろそろ行きましょう。ちょっとトイレ行ってきますね。」


トッシー退散。


若いキャバ嬢:「あの〜、」
主宰:「ん?」
若いキャバ嬢:「今度休みの日にお食事とかいきませんか?連絡先教えていただいていいですか?」


これもトッシーのプレゼンの効果によるものだろう。
店に来てほしいという連絡か、本当に食事の誘いなのかどうかは分からないが…。


このあと、結局もう一軒キャバクラへ行き、4時頃フラフラになりながらタクシーで大崎へ向かったのだった。