架空のマリアージュ

今日は従姉妹の久美子の結婚式だった。
うかい亭という会場はつきみ野という辺鄙な場所にあるが、食事が美味いという話だった。
が、主宰は親戚連中の舌は信用していないので、それ程期待していなかった。
ところが、食べ始めると食事の内容は相当レベルが高く(特に素材選びが半端じゃない)、主宰の舌を持ってしてもかなりの満足感だった。
今回の会場は、かなりグルメな家族だという新郎側のたっての希望とのことで、主宰の基準で考えたときに久美子はかなり良い縁に恵まれたように思う。

1人だけ酔っ払い

親族顔合わせは11時からだったが、車で余裕を持って移動したため9時50分に着いてしまった。
待合室として設定されていた2階のバーに案内され、ウーロン茶やジュースなどが振舞われていた。あまり注文する人はいなかったが、スパークリングワイン選べるとのことで主宰は迷わずそれを選択した。
しかし、そのスパークリングワインがまずい。仕方なくウーロン茶を飲みながらうろうろしていると、見慣れたボトルが目に入った。遠目にもすぐにそれと分かるDRCとルイ・ラトゥールのコルトン・グランセイだった。
近くに行って確認すると、それらはマールだった。


主宰:「これって飲めるの?お金払えば飲める?」
店員:「確認してまいります。」


店員:「プランには入っていないので、御代を頂く形にはなりますが…。」
主宰:「いくらですか?」
店員:「DRCが1杯6000円、ルイラトゥールが1杯2200円になります。」
主宰:「ではルイラトゥールをください。」


ブランデーグラスでゆっくりと飲んでいると、親族顔合わせの時間が来てしまった。
飲み残すのはもったいないので、グラスを持って会場に歩いていったが、グラスを持った顔の赤い男性が新郎側の親族の方々には奇異に写ったらしく、悪い意味で主宰は注目の的となってしまった。

食事の内容と架空のマリアージュ

思いがけないレヘルの高い食事だったが、酒がハウスワインだったのが残念ではあった。(これで酒までこだわったら費用が馬鹿高くなってしまうので、素晴らしい食事をありがとうと言う感謝の気持ちがあった上での話です。)
一品一品出てくるたびに勝手にマリアージュを想像していた。


★車えびのゼリー★
寒ブリのたたき★
出汁の効いたゼリーと、この類の料理にしては大きめの車えびが贅沢だった。
舌の上にしっかりと葡萄が滞留してくれる酒が良い。


松:(泡)ルイ・ロデレール ブラン・ド・ブラン
竹:(白)フランケン シュペトレーゼ
梅:(日本酒)三千盛 悠醸


★牛肉のコンソメスープ★
コンソメは良い出汁だった。濃すぎると邪魔になってしまうので、ハーモニーが奏でられる出汁系の酒が良いだろう。


松:(赤)ドメーヌ・ピエール・ダモワ ACブルゴーニュ
竹:(ロゼ)タヴェル
梅:(赤)濃くない金賞受賞のACボルドーまたはACボルドーシュペリュール


三陸鮑の利尻昆布岩塩蒸しのトリュフソース★
濃厚なソースの魚介類には分かりやすいミネラル感のあるリッチな白ワインが良いと思いました。


松:(白)ドメーヌ・ブラン・ガニャール クリオ・バタール・モンラッシェ
竹:(白)ニコラ・ジョリー クロ・ド・ラ・クーレ・ド・セラン
梅:(白)ディアリッチ シャルドネ


主宰:「これ、このワインじゃもったいないなあ…。食事の内容が凄すぎるから文句は言えないけど…。バタール・モンラッシェとか頼んじゃおうかなあ…。」
鉄板焼きのシェフ:「ありますよ〜♪ でも、そんなことしたら新郎新婦がここで皿洗いしなければならないですけどね(笑)」


★長崎黒毛和牛のサイコロステーキ 淡路島の玉ねぎ添え★
偉大な赤ワインなら何でも合いそうだ。安くて旨いワインの場合は、濃厚さや樽で料理を邪魔しないワインでなければならない。


松:(赤)ドメーヌ・ルロワ ヴォーヌ・ロマネ ジュヌヴリエール
竹:(赤)スリー・ヒルカベルネ・ソーヴィニョン マーガレット・リヴァー
梅:(赤)エルヴェ・ラロック ACフロンサック


★ガーリックライス★
松:?
竹:?
梅:?


★洋ナシのデザート★
ほど良い甘さなので、その甘さを損なわない程度に甘い酒が良い。


松:(白)ピースポーター ラインガウ シュペトレーゼまたはカビネット
竹:(貴腐)ルーピアック、サン・クロワ・ド・モン等
梅:(泡)セミセコのカヴァ


★野苺のウェディングケーキ★
松:グラッパ
竹:紅茶にブランデー
梅:ハーブティー


こうやって想像してみると、仮に梅コースだったとしてもハウスワインで通すよりは格段に幸せだっただろうことは想像に難くない。梅コースのワインをなぞっても全部で1万円しないのだ。それを10人程度でシェアすることを考えれば、かなりリーズナブルになりそうだ。(持ち込めればだが…。)
ちなみに、竹コースは20000〜25000円、松は85000円前後です。

うかい亭での酒

(ブランデー)ルイ・ラトゥール マール・ド・コルトン・グランセイ
(白)ハウスワイン〈オーストラリア〉
(赤)ハウスワインボルドー

甘い勧め方

渋谷に用があったので、帰りにヴィノスやまざき渋谷店に行った。
左隣に座っている女性がヌーヴォーを飲み終わった。


隣の女性(敦子さんという):「この、『クラブオンメニュー』のホジョレーってどうなんですか?」
店員の澤田さん:「これはヌーヴォーじゃないボジョレーのワインなんです。」
敦子:「じゃあ、いいです。」
主宰:「なんだそれ!?」
澤田:「なにか間違ってましたか?」
主宰:「間違ってはいないけど、説明が雑すぎる。甘い!」
澤田:「すみません…。どう説明すればいいんでしょうか?」
主宰:「『これは、お客様が今お飲みになったペールギヨのヌーボーじゃないボジョレーのワインなんですが、モルゴンと言うボジョレーの中で名醸地として知られる村で、さらにその中で特別な区画で作ったとても美味しいワインなんです!』って言わなきゃダメだろ?」
澤田:「そうなんですね。すみません。」
主宰:「っていう今の僕の説明聞いたら飲むでしょ?」
敦子:「はい、頂きます!是非飲んでみたいです!」
主宰:「俺も薀蓄してたら飲みたくなっちゃった。俺もくれ。」
澤田:「はい、分かりました。」

絵に描いた餅

主宰:「澤田さんって下の名前なに?」
澤田:「エミコです。なにかあるんですか?」
主宰:「今のことをブログに書こうかなと思ってさ。登場人物は基本的にファーストネームで書くから聞いたんだよ。で、エミコってどういう字書くの?」
エミコ(澤田):「絵が美しい子です!」
主宰:「絵に描いた餅の美しさの絵美子さんね。はい、ありがとう。」

やまざきでの酒

(赤)ドメーヌ・ペール・ギヨ モルゴン グラン・クラ 2005