邪道なカレー

今日は胃袋女の39回目の誕生日ということで、代々木のアンコールワットで食事することになっていたが、来る予定の人のキャンセルが相次ぎ人数が少なくなってしまったため、本来胃袋女が行きたかった、予約ができない品川のインド料理「デヴィコーナー」へ行った。

運び屋

品川に向かう前に時間があったので、渋谷のやまざきで軽く飲んでいた。
すると、今日来るはずでキャンセルになってしまった泰久と加代子が登場した。


泰久:「いやあ、今日の9時半からの電話会議が無ければ行けるのになあ…。残念。真理さん(胃袋女)によろしく言っておいて。」


その後、一緒に飲んでいたが、突然何かを思い出したかのように、


泰久:「そういえば、プレゼント何がいいかなあ? ここで買える物でいいものは無いかなあ? 真理さんは何がすきなの?」
主宰:「カリフォルニアの濃い目のカベルネなら間違いないと思います。ただ、最近お酒は控えていると言っていたからどうですかね…。」
加代子:「ワインが熟成する頃に治ってるんじゃないの?」
主宰:「そうだ。それでいいじゃん。」
泰久:「それもそうだな。ハイ決まり。」


3人ともB型で短絡的なので話は早かった。


泰久:「村松君の今日のワインはおごるから。」
主宰:「え? 何でですか?」
泰久:「今日は『ブツの運び屋』として活躍してもらうので…。」
主宰:「いままで一度もサツに見つかったこと無いんで任せといてください。(笑)」

デヴィコーナーの思い出

遡ること8年。主宰はまだ、とあるITの会社の社員だった。IT業界は優秀なインド人がたくさん活躍しているが、主宰が所属していたCTCという会社にも日本語が流暢で日本人より明らかに優秀なインド人が大勢来ていた。
主宰はそのうちの一人であるスニルと仲良くなり、あるとき食事の誘いを受けた。


スニル:「ムラマツさん、インド料理好きデスカ?」
主宰:「う〜ん…。とりたてて好きと言う事は無いけど、美味しい店があるなら連れてって。」
スニル:「絶対美味しいカラ、行きまショウ!」
主宰:「インド人だけが美味しくて日本人には分からないとか、そういうんじゃないの?」
スニル:「いや、絶対美味しいんデス。信じてクダサイ。(半泣き)」
主宰:「わかったわかった。そこまで言うなら行くよ。」


で、当日。主宰は正直なところ、あまり期待していなかった。客で日本人は主宰だけ。不安が募った。
でも、美味しそうなカレーを一口頬張ってみた。


主宰:「!」
スニル:「どうデスカ?村松サン。」
主宰:「うまい! うまいよね〜。ホントに。こんなに凄いうまいと思わなかったよ。これは死ぬほど言いふらすだろうなあ。」
スニル:「喜んでいただいてヨカッタデス。」


それから4年後、主宰はHPという別のITの会社にいた。
そこには、出入りする業者として日本語が流暢で日本人より明らかに優秀なインド人が来ていた。その一人のラヴィと仲良くなった。


主宰:「ラヴィはインド料理はどの店が美味しいと思う?」
ラヴィ:「たまプラーザの東急百貨店の地下のところはおいしいデスヨ。」
主宰:「そういえば、いつも行列できてるよね。あそこ。」
ラヴィ:「ムラマツさんは食べたこと無いんデスカ?」
主宰:「行ったことは無いけど、市ヶ尾に住んでいた頃よく前を通ってたよ。でもいつも並んでるから入ったことは無かったけど。」
ラヴィ:「今度是非入ってみてクダサイ。」
主宰:「ラヴィは品川のデヴィコーナーは知らないの?」
ラヴィ:「知らないデス。」
主宰:「すっごいうまいよ。行ってみる?」
ラヴィ:「行きたいデス。」
主宰:「あっそう。じゃあ、今日暇? 行ってみる?」
ラヴィ:「ハイ、宜しくお願いシマス。」


この頃の店は日本人とインド人が半々くらいだった。


主宰:「どう?おいしいでしょ?」
ラヴィ:「オイシイ!!!!! ホントオイシイ!!!!!」

邪道メニューの思い出

スニルにデヴィコーナーを教えてもらった直後、いろいろな人にその話をしていたら、何人かが会社の近く(駒澤大学)にもうまいインド料理の店があるという。
ムンバイという店だった。デヴィコーナーにはかなわないが上品な味付けと丁寧なつくり方に好感が持てる店だった。
毎週2回は行っていたので、すぐにメニューは制覇していたので、その中で自分が何が好みかが分かっていった。
その店はサグ(ほうれん草)のカレーが美味しかったので、よくサグ絡みのメニュー(チキン、マトン、チーズ)を頼んでいた。それ以外のときは、ダール(豆)絡みのメニューを頼んでいた。


ある日、サグとダールが一緒に出てくればいいのになあ。と、ふと思った。


店員:「何になさいますか?」
主宰:「ねえねえ、サグとダールって一緒にならないの? なんでサグダールってないの?」
店員:「聞いてきます。」


店員:「インドにはそういう組み合わせは無いそうです。でも、お作りできるそうです。それにしますか?」
主宰:「ほんと? じゃあ、サグダール♪」


それから、行く度にその若い可愛い店員は、


「今日もサグダールになさいますか?」


と聞いてくれていた。

邪道カレーの登場

さて、前置きが長くなったが、この日は3品のカレーを頼むことにしていた。
2品は主宰のこの店での定番「デヴィスペシャルダル」と「チキンジャルファレージ」と決めていた。
「デヴィスペシャルダル」は同じダールでも黒いダールを使用したとてもクリーミーで香ばしい一品だ。
「チキンジャルファレージ」はこの店で一番辛いメニューだが、炒めただけの野菜のシャキシャキ感と野菜の甘みと激辛のスパイスがうまく絡んで本当にうまい。店員によれば、インド人でもこんなに辛いカレーは殆ど食べないそうである。


主宰:「もう一品は海老のカレーにしようか?」
胃袋女:「いいねえ♪ でもあたし、ほうれん草のカレーも食べたいなあ。でも海老も食べたいし…。」
主宰:「じゃあ、あと2品頼む? でもここは量が多いから3人でカレー4品はちょっとなあ。 どうする?」
胃袋女:「…。」
主宰:「聞くだけ聞いてみようか?」
胃袋女:「なにを?」
主宰:「海老入りのほうれん草のカレーできないかどうかを。」
胃袋女:「いいねえ!」
主宰:「すいませ〜ん♪」
店員:「何デスか?」
主宰:「サグプラウンってできませんか?」
店員:「いやあ、ちょっとソレハ…」
主宰:「やっぱり邪道なの?インドでは無いの?」
店員:「ハイ、インドではそれは無いデス。」
主宰:「やっぱり出来ない?」
店員:「ハイ、スイマセン。」
主宰:「あっそう。じゃあ、もう一品選ぶから先に2品作っててください。」


五分後、店員が主宰に耳打ちする。


店員:「あの、シェフがやってくれるそうデス。」
主宰:「なにを?」
店員:「スペシャルカレーを今作ってイマス。」
主宰:「まじ?」


主宰:「いま作ってるって。」
胃袋女:「なに?」
主宰:「サグプラウン。」
胃袋女:「♪」


店員:「はい、スペシャルデス。」


邪道カレーが登場した。


胃袋女:「邪道と言えば外道。」
主宰:「非道もいるよ。団体違うけど。」
胃袋女:「でも、この前非道も新日で外道と組んでたよ。」
主宰:「そうなの?時代が変わったんだねえ。」


何故かカレーからプロレスの話題に変わった。

胃袋女の日記

違った視点で今日のことが書かれているはずである。
http://d.hatena.ne.jp/mari37/20060516



デヴィコーナーはサイドメニューもうまい。
シシカバブ、フィッシュティカ、タンドリーチキン



手前はサフランライス、奥は黒ダールのカレー、右は主宰が大好きなチキンジャルファレージ(この店で一番辛い)



邪道カレー「サグプラウン」
これもうまかったです。