隠れ蓑

bebian912008-08-17

今日はロワールらしくないロワールワインの会を表参道のレ・クリスタリーヌで開催した。
びっくりしたのは、弟子のマヤがワイン教室のまり子先生を連れてきたこと。
美白秘書も蘭子もお友達を連れてきてくれました。

酒を注ぐ順番

新しい酒の順番が来るたびに、


主宰:「はい、では、グラスの空いた人から次の○○注ぎますのでグラス出してください。」


と、アナウンスしたが、最初の3回は美白秘書令子が待ってましたと言わんばかりに、グラスを最初に差し出した。


主宰:「令子さん、さすがに酒豪だね。必ず最初にグラスが出てくるね。」
令子:「あら…、そんなことなくてよ…、オホホホ。」(←令子の台詞を忘れてしまったので、適当に作りました。すみません。)


とちょっと恥ずかしそうだった。


4本目の"アンソリット"を注ぐときが来た。


主宰:「はい、では、グラスの空いた人から次の白ワイン注ぎますのでグラス出してください。」


当然令子が一番乗りでグラスを出してくるものと思っていたら、令子のグラスには微妙な量が残っていた。


令子:「はい、茂呂さんのグラスが空いてるので注いであげてください!」
主宰:「あれ、今度は令子さんが一番乗りじゃなかったね?」
令子:「そんなあ…、人をノンべだか酒豪みたいに言わないでくださいよ(笑怒)。」
主宰:「違ったっけ?」


もろのグラスに注ぎ終わった。


令子:「では、あたしのもお願いします♪」
主宰:「はーい♪」


5本目のビオのソミュール・シャンピニーを注ぐときが来た。


主宰:「はい、では、グラスの空いた人から次のビオワイン注ぎますのでグラス出してください。」


またしても令子のグラスには微妙な量が残っていた。


令子:「はい、茂呂さんのグラスが空いてるので注いであげてください!」
主宰:「ん?」
令子:「どうしたんですか?」
主宰:「いや…。」


もろのグラスに注ぎ終わった。その瞬間、令子は自分のグラスに残っているワインを先程と同様に飲み干した。


令子:「では、あたしのもお願いします♪」
主宰:「令子さん、毎回一番だと恥ずかしいから茂呂さんを隠れ蓑にして、一番じゃないフリしてるでしょ?」
令子:「あらっ!?」


すごいのは、令子がこの「一番にならないための作戦」を自分の頭脳で考えて実行しているのではなく、ほぼ本能というか反射的に「恥ずかしい一番乗りを避ける」という行動を実行しているところだ。秘書としての立ち居振る舞いが完璧に備わっているのだ。改めて尊敬の念を抱かずにはいられなった。

今日の酒

今日はロワールの会だったが、『らしくない会』の名のとおり、それらしいワインはプイィ・フュメぐらいで、もう一本強いて挙げればビオのソミュールシャンピニーぐらいではないかと思う。我ながら変と言うか面白い会を開いたものだと思う。
終わってから、「ロワールって楽しいなあ!」と思いました。


(赤)ティエリー・ボヌトン コート・ロアネーズ "キュヴェ・ブーテラン" 2004
サンセールやプイィ・フュメのあたりから南に数百キロのあたりにあるロワール川の最上流域で生産される赤ワインで、地理的にはボジョレーから西に50kmくらいのところにあるらしい。
初めて飲んだときのやさしい味わいが忘れられず、この3年間くらいにわたって数本飲んできたが今日は最後の一本を飲んでしまった。また新しいヴィンテージで発売して欲しいなあ…。
ガメイ100%


(泡)ドメーヌ・ド・ラ・タイユ・オー・ループ ブリュット・トラディション NV ACモンルイ・シュール・ロワール
あまりインパクトはなかった。エノテカで3150円で買った。高い。


(白)ドメーヌ・デ・オービジエール ヴーヴレ 1996
甘いワインだが甘すぎず、前菜のタイミングで出しても十分に楽しめた。正直なところ、あまり期待していなかったが、美味しかった。落札での掘り出し物。
シュナンブラン100%


(白)ドメーヌ・ロッシュ・ヌーヴ "アンソリット" 2003 ACソミュール
峠を越えて古酒になっていたが、その佇まいまでは色あせず、楽しめた。
シュナンブラン100% 収穫量 18hl/ha


(赤)ドメーヌ・デ・フロジェール ソミュール・シャンピニー "キュヴェ・プレステージ" 2004
赤坂のMAVIEで買ったビオワイン。主宰が買ってから保存が悪かったためか多少のビオ臭があったが、葡萄が力強く非常に楽しめた。完成度の高いすばらしい酒だった。
カベルネ・フラン100%


(白)アンリ・ブルジョワ プイイ・フュメ 2004
今日は変り種が多かったので、優等生的な味わいはかえって目立つことになった。数あるプイィ・フュメの中でも出色だった。
ソーヴィニョン・ブラン100%


(赤)ドメーヌ・デ・ロシェル アンジュ・ヴィラージュ・ブリサック "レ・ミレリ" 2002
最初に飲んだとき(2年前)は輸入したてて味が暴れていたが、今日は落ち着いていた。多少熟成していたが、まだまだいけそうな感じで、ルビー色と言うかガーネットと言うかボルドーには出ない若い色合いで、味も見たままの味だ。カベルネ・ソーヴィニョン100%ということでロワールらしくないと言えるが、味わいは意外とロワールらしかった。面白い酒だった。


(赤)ドメーヌ・ロッシュ・ヌーヴ "マルジナル" 1996 ACソミュール・シャンピニー
プロでもブラインドで右岸のグランヴァンと間違えるほどの完成度、美味しさを誇る酒だが、熟成してから飲むのは初めてで超楽しみにしていた。
期待を裏切らないすばらしい出来、熟成だった。ラベル見ながら飲んでもシュヴァルブランと間違えそうである。
だれが飲んでも絶対にカベルネ・フラン100%とはわからないだろう。
収穫量 25hl/ha


(白)ニコラ・ジョリー クロ・ド・ラ・クーレ・ド・セラン 2004(写真)
こんな力強い白ワインは飲んだことがない、衝撃の酒だった。味わう前に、その色合いと力強さに圧倒された。
ワインと言う形になってボトルに収まってはいるが、まだ葡萄として生きているのではないかと錯覚するくらいの生命力を感じる。
ニコラ・ジョリーのインタビュー記事などを見ると、かなり過激で(また、ワイナートだとB型の田中主筆がさらに過激にイケイケで訳す)、記事だけ見るとどうかと思うかもしれないが、これを味わえば、その自信と批判の裏付けがわかり、すべてが納得できる。
凄すぎる。参りました。
シュナン・ブラン100%


まり子先生が、クロ・ド・ラ・クーレドセランはもっと変わると言うことや、熟成しているものについていろいろと経験を教えてくれた。こういうときにプロはありがたい。
プロと言っても、まり子先生はワインを楽しむことが第一ということを実践している、主宰的に趣向の合うプロだ。大事にしたい縁だ。

参加者

美白秘書、直子、穣、もろ、マヤ、まり子先生、睦子、蘭子、晶子、主宰