同じ過ち

11日にイラン対メキシコを観た。
開始10分位からテレビをつけたら赤いユニフォームがゴール前の決定機だった。


「やっぱりイランが攻めこまれてるのか…。」


と思ったがどうも様子が違う。


ハシェミアン、シュート!…。決定的な場面でした。」


ハシェミアン
イランの選手ではないか。
そう、ゴール前に押し込んでいた赤いユニフォームはメキシコではなくてイランだったのだ。


実は主宰はイラン代表のファンである。9年も前からである。
当時のイランはブンデスリーガで活躍する、全盛期のFWダエイ、FWアジジ、MFバゲリ、若き日のMFマハダビキアの傘にかかっての攻撃は、非常に迫力があった。
主宰はその中でもピッチをところ狭しと駆け回り、チャンスとなるとゴール前に必ず顔を出し、隙があれば短いモーションから強烈なミドルシュートを放ち、壁がよけたくなるような弾丸FKを持つバゲリが大好きだった。
バゲリのポジションはボランチだが、代表ではダエイやアジジと同じくらい点を取っていたのだ。


イランの攻撃は、迫力と強引さだけかと思いきや、意外と足許もうまい。
今なら、ダエイはもうだめだが、ハシェミアンマハダビキア、カリミが絡むと見ていて本当に面白い。


前半はメキシコに先制を許したものの、途中で追いつき互角の内容だった。
しかし、この時点ですでにイランの敗北は見えていた。


彼らは強いチームが相手だと何故かパフォーマンスを発揮する。が、その分前半で燃え尽きてしまうのだ。いいんだか悪いんだか…。
20分を過ぎたころから、足が止まった。特にダエイはほとんど動けなくなった。するとダエイにマークについていた、テクニックのあるリベロマルケスが攻撃に常に参加、常にメキシコがボールを支配するようになった。この時点で勝負あった。


彼らの負け試合を見ていると、いつもこうである。少しは学習して体力強化に励めばいいのに…。と思ってしまう。
だが、主宰はイランのこの「同じ過ち」は織り込み済みで観戦するので、またそれも楽しめてしまう。


「あ〜…。止まったか。」


強いチームを相手に物怖じすることなく攻める姿勢は、強い相手だと何もできない極東の弱いチームよりよほど魅力的だし、決定力のある攻撃陣は日出ずる国の情けないそれらとは違うし、チームの状態を読んでゲームをコントロールするマハダビキアの洞察力は、試合の流れをコントロールできずに簡単に前にボールを入れてしまい、いたずらに体力を消耗する展開を作る中田とは違う。
彼らのサッカーは味があり、非常に魅力的なのだ。
でも負ける。日本よりも弱い。でも面白いから好きなのです。がんばれイラン!

同じ過ちの余談「サッカー選手にとってワールドカップに出場することの価値」

いまから9年前、ジョホールバルで岡野の「やっと決めてくれたか(中田談)」のⅤゴールで日本に敗れたイランは、オーストラリアとのプレーオフに回った。
テヘランでの第1戦(衛星放送で観てました)は1-1の引き分けに終わり、第2戦を迎えた。


オーストラリアは地元の利を生かし、力強い攻撃で2点をリードした。
しかし後半、ゴール前の混戦に、例によって3列目からきっちりゴール前に詰めていたバゲリが決めて1点差。
そして、オーストラリアの不用意なオフサイドトラップを尻目に、ダエイのスルーパスに反応したアジジがGKとの一対一を決めて同点!
この時点でアウェイゴール数で上回るイランは実質リードしたことになる。


すると、イランのGKは露骨な時間稼ぎに出る。


山本アナウンサー:「イランのGKが日本戦でも見せた露骨な時間稼ぎにでてきました。汚いプレーですね〜。早野さん、いかがですか?」
早野宏史:「当然ですよ。」
山本:「はあ?」
早野:「僕がキーパーなら同じことすると思います。このまま終わればワールドカップに行けるんですよ!ワールドカップですよ!ワールドカップに出られるんなら、遅延行為だって反則だって何だってやりますよ!」


確かに。
ラモスもワールドカップ出られたら「死んでもいい」って真顔で言ってたっけ。