体をいじめ抜く

今日は無性に眺めがいい露天風呂に入りたくなったので、秋川渓谷瀬音の湯に行ってみた。
対岸の山々を臨む露天風呂が最高で、ついつい裸で長時間ぼーっとしてしまった。

いじめ1

ここは強アルカリ温泉でPH10.1とのこと。アルカリというとなんとなくイメージがいいが、肌は弱酸性である。これが肌に良い訳がない。「肌がすべすべになる」というのは、酸性の皮脂とアルカリが中和してできた化合物が肌にまとわりつくからであり、この中和反応の際に皮脂が破壊されるばかりでなく、湯上り後、不必要な化合物が乾燥して肌にこびりつくことになる。その証拠に湯から上がってしばらくたつと、肌がつっばることこの上ない。市販のボディーシャンプーやシャンプーはアルカリ性であることが多いので(弱酸性と表示があっても嘘であることが多いので、是非リトマス試験紙で調べてください。)、普段そのようなものを使っている人は気がつきにくいかもしれないが、主宰が体につけるものや洗うものはすべてPH6.5で統一されているので、違いが分かる。
強アルカリ温泉の効能について調べたが、他の性質の温泉と共通の一般論しか載っていない。肌にいいと書いてあることはなく、せいぜい「すべすべ(な感じ)になる。」程度である。本来肌に悪いということに触れるのは業界ではタブーなのだろう。
以上のことは湯に入ってすぐに気がついたことだが、やはりお湯というものは気持ちがいいものでついつい長湯してしまった。結果、一時間半にわたって、肌をいじめつづけることとなった。


主宰:「ここは強アルカリなんですってね。」
店員:「そうです。PH10以上あるんですよ!」


店員は自慢げに話してはいるが、良心の呵責がありそうな含みのある話し方だったのが気になった。やはり分かっているのか?
毎日入れば肌は痛むだろうから、やはり分かっているのだろう。タブーも、業界では常識なのだろう。

いじめ2

入浴の一時間半の間、室内の湯船、露天の湯船、サウナ、露天のそばのベンチで涼むということを繰り返していた。あきる野市の今日の気温は10度で(秋川渓谷のある山間部はもっと低かったかも)相当寒いはずだが、湯船はともに40度、サウナは90度で物凄い差である。体は疲れていないのに心臓だけが体温調整のために必死で高速で絶えず動いていた。相当負担をかけたのではないかと思う。その心臓をいじめ抜いた後遺症は湯上りのだるさという形ではっきり現れた。風呂やサウナで人が死ぬことがあるというのもうなずけるが、それを一時間半も続けたかと思うとちょっと怖いような気もする。

いじめ3

サウナに通算15分程度いたと思うが、髪の毛の水分が完璧に抜けてしまってサラサラを通り越してパサパサになってしまった。これが回復するには相当な時間がかかるだろう。肌なら汗をかいたりなどで防御ができるかもしれないが、髪の潤いは90度という温度を考えればあまりにも無防備だった。15分間も髪をいじめ抜けばパサパサになってしまうのも仕方ないだろう。

いじめ4

湯船に浸かる前に水道水(もちろん加温して40度くらい)で、持参のシャンプーなどで体を洗ったが、普段家では肌に決定的なダメージを与える塩素がカットされたお湯に浸かっているので、ニオイで分かってしまう。
前述のように強アルカリ泉で肌を痛めつけてしまったので、最後にもう一度持参のシャンプーなどで体をすべて洗った。が、流す湯が塩素まみれなので皮脂だけでなくたんぱく質にもダメージを与えてしまった。


一時間半にわたったいじめ抜いた体は10時間経ったいま(10/28 AM3)もつっぱり気味である。

いじめ1(アルカリ泉)についての考察

「温泉=健康に良い」と古来から考えられてきたようだが、普通に湧き出ている温泉は弱アルカリの単純泉か酸性であることが多く、昔の人はそれを指して効能をうたっていたはずである。その証拠に、強アルカリ泉は最近の技術で深く掘削して湧き出るようになったものが多い(温泉協会のHPより)そうである。
よって、最近の「強アルカリ」を売りにしている温泉というのは、言葉のイメージだけを利用した極めて日本的なまやかしのビジネスなのではないかと疑うに至った。
自分は温泉通でもなんでもないので、何か間違いがあれば指摘はウェルカムです。よろしくお願いします。

瀬音の湯

以上のように効能などについて考えるとろくな結果にならないが、単純に最高の景色を眺めながら温まるということだけを考えればこの温泉はかなりいいと思う。施設はきれいだし、都心から一時間半で到着でき、バスも本数があるのでアクセスはかなり良い。人気があるのも分かる。
「瀬音の湯」とは言うが、川のせせらぎの音より桧原街道の車の音のほうが良く聞こえるのはご愛嬌だ。ただし、木に隠れて道が見えることはないので、景色は文句のつけようがない。
施設の周りに他の施設はなく、周りは森だけで極めて閑静だ。コテージに宿泊もできるそうで、食事も美味しいそうで、建物も清潔なのでいろいろなサイトで調べても評判はかなりいいようだ。

湯上がりの酒

缶ビール