影のワイン

bebian912008-04-20

今日は表参道のレ・クリスタリーヌで「シャンベルタン・クロ・ド・ベーズの白昼ワイン会」を行った。


シャンベルタン・クロ・ド・ベーズは、シャンベルタンとともにブルゴーニュの全グランクリュの中で、ヴォーヌ・ロマネの一連のグランクリュ群、ミュジニーとともに最も重要な畑といっていい。
同じジュヴレ・シャンベルタン村の他のグランクリュとは圧倒的に格が違う。


その格が違うシャンベルタンとシャンベルタン・クロ・ド・ベーズは一対にしてさまざまな対比にたとえられる。
「陰と陽」、「表と裏」、「光と影」、「物質と精神」等々…。
シャンベルタン・クロ・ド・ベーズはそのどちらかといえば、陰であり、裏であり、影であり、精神である。


(すべてワイナート43号の受け売りです。)


そのようなワインを味わうには、飲み手にも経験が必要かもしれない。
また、このことを知らずに飲めばあっさりと胃袋に収まってしまうのみであり、参加者のみなさんに理解してもらうために、ブルゴーニュの地図を用意して会に臨み、会の中でもたくさんの薀蓄を語った。

AテーブルとBテーブル

Aテーブルのホストが一番弟子の英彰で、Bテーブルのホストが主宰だった。
このことは、いくつかの憶測を呼んだ。


村松さんがいないほうをAにしてごまかそうとしている。」
「Bのほうがワインがいいので、テーブルのランクでごまかしているのではないか?」
「なにか差別しているのではないか?」


その心は、「英彰がA型、主宰がB型」でした。

差別とケチのつけ始め

差別していたわけではないが、ミシェル・グロのワインはAテーブルはオート・コート・ド・ニュイ、Bテーブルはニュイ・サン・ジョルジュだった。
味がある程度違うことは分かっていたが、実際に飲んでみるとその違いの大きさに驚いてしまう。Aテーブルでは普通の反応で飲んでいるが、Bテーブルでは感嘆の声が漏れる。
これを察知した、Aテーブルの数名がニュイサンジョルジュをよこせと言ってきた。そして、実際に飲んでみると、「ずるい!」という話になる。この差なら当然だ。


(やっぱりブルゴーニュテロワールなんだなあ…、と改めて思う。)


本来18人で16本のつもりだったので、16人に減ってしまって14本にする予定だった。
その減らす2本は、ベルナール・ドラグランジュの古酒(オセ・デュレス)にする予定だった。
ただ、これらの古酒は、違うヴィンテージをAとBに振り分けることで、ミシェル・グロでついた差を埋め合わせする使命を帯びていた。そして人数の変更によりその使命は封印されるはずだったのだが…。


結局、ミシェルグロで出た不満を埋め合わせるべく、ドラグランジュを2本ともあける羽目になってしまった。
Bテーブルの最高のヴィンテージ(1990)も良かったが、さらに12年熟成が長い1978のほうがより熟成感があり、貫禄の味となっていた。


これで、みなの納得が得られたのは良かったのだが、一人当たりまるまる一本という白昼ワイン会としてはありえないワインの数となってしまい、泥酔者を続出させてしまった。


まあ、ドラグランジュは思いのほか美味しかったので良かったんですけどね。

今日のクライマックス!

まずは幻のワインとなった、マトロ・ウィッターシェイムムルソーのミネラル感がすばらしく、本当に分かりやすいおいしさだった。シャサーニュっぽい印象だったが、時間がたつとムルソーらしさが徐々に顔をだしてきた。


そして、10時からあけてもらっていた、グロフィエのジュヴレ2005。空気のふれ具合が丁度良く、2005と若いヴィンテージだか本当においしく飲めて、皆で盛り上がった。丁度このタイミングで、注文したコースでは出る筈のないスペシャル鴨料理が出てきて、舌鼓を打ちつつベストマリアージュを楽しむことができた。


そして、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ!
これをゆっくり飲むことで、陰、影、裏、精神を堪能するぞ!


っと思った矢先、既に閉店の時間が近くなっていた店の都合でチョコレートのシュークリームとコーヒーが一緒に運ばれてきてしまう…。


深い理解が必要なクロドベーズの横に置かれる分かりやすい味のデザートと濃い味のコーヒーによって、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズは、違う意味で今日のワインと料理の「陰」、「影」、「裏」、「精神」?、に追いやられて悲しい結末を迎えるのだった…。
良い酒だったんだけど、今日は、


「シャンベルタン・クロ・ド・ベーズが美味しかった!」


と、誰も言ってくれませんでした。がっくし…。

今日の酒

(ロゼ)グロ・フレール・エ・スール ブルゴーニュ・ロゼ 2006
思ったより甘い。意外と甘ったるい。ノーテンキで明るい味。想像だが、2006という難しいヴィンテージで過熟してしまったいろいろな畑の葡萄を集めて多めに作ったのではないか?


(赤)ドメーヌ・パラン ブルゴーニュ 2004
ボーヌらしい、やわらかくて丸い印象。普通においしいがきちんとしていて良い。
すきっ腹に2杯目を飲んでみな酔っ払い気味。


(白)ドメーヌ・A.P.ヴィレーヌ ブーズロン・アリゴテ 2005
これが噂の…。こんなにきれいな酸が乗ったアリゴテは初めてだ。やはり斜面が違うのだろう。


(赤)ドメーヌ・ミシェル・グロ オート・コート・ド・ニュイ 2004(A)
(赤)ドメーヌ・ミシェル・グロ ニュイ・サン・ジョルジュ 2001(B)

オート・コート・ド・ニュイはそれなりに美味しかった。ニュイサンジョルジュはかなり美味しかった。こんなに味が違うとは思わなかった…。Aテーブルの人たちがブーブー言うのは仕方ない。


(赤)ドメーヌ・ベルナール・ドラグランジュ オセ・デュレス 1978(A)
(赤)ドメーヌ・ベルナール・ドラグランジュ オセ・デュレス 1990(B)

これは当たり! いい熟成をしている。1978は熟成の妙を楽しめた。1990はそこそこの熟成感とヴィンテージの良さからくる力強さを楽しめた。


(白)ドメーヌ・マトロ・ウィッターシェイム ムルソー 2003
すばらしい! この蔵のワインがもうこれから作られないなんて、本当に残念だ。


(赤)ドメーヌ・ロベール・グロフィエ ジュヴレ・シャンベルタン 2005
うまい♪


(赤)ポール・レイツ シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ 1995
的確な表現かどうか分からないが、口の中に別の宇宙が展開される感じがした。
もう一度ゆっくり、クロ・ド・ベーズに挑戦してみたい。
一緒に挑戦したい方は、秋に開催予定の「ピエール・ダモワの会」に参加してください。
5名以上参加者がいればすぐにでも開催します。
この会では、「表のシャンベルタン」「裏のクロドベーズ」を同じダモワで比較します。

写真

mixiに載せました。

参加者

美白秘書、パナ、かおり、典子、正明、穣、大佳子、弘子、英彰、佐緒里、里香、マヤ、哲、美和子、しのぶ、主宰