聞き耳

bebian912008-02-27

今日は、直美が3/7のルロワの会に参加すると言ってきた。もちろんOKなのだが、直美はワイン初心者でブルゴーニュの「ブ」の字も知らない状態なので、IZAKAYA VINで勉強させることにした。


カウンターに座ると、メオカミュゼの白が目に入った。ヴィンテージは1999。これを飲まない手は無い。
赤は、デゾネ・ビセイのヴォーヌ・ロマネがあった。この蔵の酒は飲んだことが無かったのでこれも迷わず注文した。


直美にはいろいろな話をした。


ボルドーブルゴーニュの違い
・それぞれの村について
グランクリュ、プルミエクリュ、ヴィラージュについて
・ヴォーヌロマネの地図について


ヴォーヌ・ロマネの地図はメオカミュゼの裏ラベルに書いてあるのでそれを見せながら話をした。


この店のマスターはワインの会話を始めると聞き耳を立てることが多いが、今日も例外ではなかった。聞き耳を立てるときはわざと横を向いて聞いていないふりをするが、その間何も仕事をしないのですぐに分かる。


主宰:「この地図の塗りつぶしてある部分がメオカミュゼが持っている畑で、この辺に世界最高の畑の『ロマネコンティ』があるんだよ。」
直美:「て、いうことは、この畑に近ければ近いほど美味しいんですか?」
主宰:「その通り!だから、メオカミュゼだとこの『リシュブール』って言う畑が一番旨いらしいんだよね。」
直美:「そうなんですか!」
主宰:「なんてったって、高いからね。一本5万円はするからさ。特に2005年なんて7万円もするのに瞬間売り切れだったからね。もう異常だよ。」
直美:「すご〜い♪村松さんは飲んだことあるんですか?」
主宰:「まだ無いんだよ。」


マスターが振り返った!


マスター:「是非飲んでください。」
主宰:「あるんですか?」
マスター:「はい。何本かありますよ。」

明かされる秘密

主宰:「ボトル見せてもらっていいですか?」
マスター:「ここには無いんですよ。」
主宰:「どこにあるんですか?」
マスター:「倉庫にあるんですよ。」
主宰:「倉庫?倉庫あるんだあ。あっ!そうか!いつもこの店では市販されてない飲み頃ヴィンテージが出てくるのは、倉庫で寝かせてるからなんですね!?何本ぐらいあるんですか?10000本くらいですか?」
マスター:「3万本は無いけど、2万本はありますよ。」


凄すぎる。リリースされたての酒ばっかりのワインバーが多い中、なんてえらいんだろう。しかも話をさらに聞くと、昔買った値段を基準にグラス一杯の価格を決めているので、他のワインバーより安いのだそうだ。良心的だ…。

蔵の考え方

直美にさらに勉強させるため、ヴォーヌロマネとの対比が分かりやすい赤ワインを注文しようとした。


主宰:「シャンボールあいてないですか?」
マスター:「ああ…、今日はシャンボールはあいてないんですよ…。」
主宰:「そうですか…、じゃあ…、このジョルジュ・リニエのモレなら対比が出るかな…。」
マスター:「違いは分かると思いますが、対比となると微妙ですね…。」
主宰:「まあいいや。それ下さい。」


主宰は上野の「アロマ」で飲んだ同じジョルジュ・リニエのモレの1erの味をイメージしていたので違いは際立つだろうと踏んでいた。


出てきたモレを飲んでみる。


主宰:「あれ?これ、濃いなあ。1erより濃いなあ。おかしいなあ…。」
直美:「そうなんですか?」
主宰:「あっ!これはもしかして…、ポンソと同じ考え方なのかも!」
直美:「その『ポンソ』はどんな感じなんですか?」
主宰:「普通は、グランクリュとかプルミエクリュのほうが葡萄に力があるから新樽の割合をふやしてコクのあるワインに仕上げるんだよ。新樽の強い香りにも対抗できる葡萄の力があるということだね。ところがポンソはグランクリュのほうが葡萄が持っている旨みが多いはずなのでそれを際立たせるために、いい葡萄の方が新樽の割合を少なくしているんだよ。ジョルジュリニエもその考え方で作っているとすれば、この味は納得できるんだけど…。」
直美:「へえ〜、そうなんですか。」


またマスターの聞き耳が立っているのは分かっていた。


主宰:「どうなんですかね?」
マスター:「いえ、違います。ジョルジュリニエの場合は格が下がると抽出を強くするんです。それで濃くなるんですよ。」
主宰:「へえ〜、そうなんだ!いろいろあるんですねえ。」


それにしても、聞き耳を立てていたことを隠そうともせず、ライムラグ無しで会話に入ってくるマスターが面白かった。

やっぱりありました

マスターが黙ってハーフボトルを主宰の目の前に置いた。


主宰:「あれ?シャンボールあるじゃないですか!しかもルーミエ。」
マスター:「2階でさっきあけたみたいです。すみません、気がつかなくて…。」
主宰:「じゅあ、これ下さい。」


中略


主宰:「これが旨いわけよ。」
直美:「美味しい!!!!」
主宰:「だろ!さっきのヴォーヌロマネとの違い分かったでしょ?」
直美:「はい、よく分かりました。こっちのほうが優しい味がする感じがします。」

今日の酒

(白)ドメーヌ・メオ・カミュゼ オート・コート・ド・ニュイ クロ・サン・フィリベール 1999 モノポール
この酒はいろいろなヴィンテージを飲んできたがこのビッグヴィテージは初めてだった。昨日あけたというのにまだきちんと美味しかった。


(赤)ドメーヌ・デゾネ・ビセイ ヴォーヌ・ロマネ 2002
真面目そうな酒。美味しいが、主宰的には少し堅苦しかった。


(赤)ドメーヌ・ジョルジュ・リニエ モレ・サン・ドニ 2004
抽出の強さ故か渋みが多めだったが、モレの特徴はしっかりと出ていて勉強には良かった。


(赤)ドメーヌ・ジョルジュ・ルーミエ シャンボール・ミュジニー 2002
今日もおいしゅうございました。2001のほうが優しくてルーミエらしさが出てて好きかな…。